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選択肢教育⑤ 子どもに残したいもの 

  • 2026.07.15

第5章      子どもに残したいもの

 

子どもたちが生まれてから、私はいつも考えてきました。

 

親として、何を残せるのだろう? 何を伝えられるのだろう?

何を持たせてあげられるのだろう?

 

若い頃の私は、まずはお金があれば安心だと思っていました。

知識や学歴、経験値があれば安心だと思っていました。

 

しかし時間を重ねるうちに、そう単純ではないことを知りました。

お金があっても悩む人はいる。

学歴や経験値があっても苦しむ人はいるし、知識があっても迷う人はいる。

もちろん、どれも大切です。

しかし、それだけでは人生は決まらないと、私は強くそう思うようになりました。

 

フィリピンで15年以上生活していると、色々な人と出会います。

裕福な人、 貧しい人、 成功している人、 失敗した人。

日本人、 フィリピン人、 その他の国の人々。

移住した人、 帰国した人。

本当にたくさんの人生を見せてもらっています。

 

その中で感じることがあります。

人生を前向きに生きている人には、ある共通点があるように思うのです。

それは、選択肢を持っていることです。

 

選択肢とは、

お金についての選択肢。

海外という選択肢。

働き方の選択肢。

住む場所の選択肢。

考え方の選択肢。

人間関係の選択肢。

生き方の選択肢。

選択肢がある人は、追い詰められにくい。

 

一つの道が閉じても、別の道を考えられる。

一つの価値観に縛られない(執着しない)。

一つの失敗で人生が終わらない。

一つの出来事を、苦しい物語にしないで通り過ぎる。

私はそれを、フィリピンで何度も見て感じてきました。

 

逆に、選択肢が一つしかないと思い込んでいる時、人は苦しくなるようです。

この会社しかない。

この仕事しかない。

この生き方しかない。

こういう私しかない。

そう思った瞬間、世界は急に狭く苦しくなる。

 

私自身もそうでした。

成功しなければならない、失敗してはいけない、正しい道を選ばなければならない。

そう思っていた頃は、常に苦しく不安で焦っていました。

 

しかし今は少し違います。

人生経験には色々な選択肢がある。

無駄に見える遠回りもあるし、立ち止まることもあれば、やり直すこともある。

 

それらはただの出来事で、そのことを知っただけで、ずいぶん楽になりました。

 

だから私が子どもたちに残したいものは、お金ではありません。

もちろんお金は残せるなら残したい。

さらに、知識や経験値だけでもありません。

それ以上に残したいものがあります。

 

それは、世界には色々な生き方の選択肢があるという感覚です。

日本に住んでもいい。

海外に住んでもいい。

会社員でもいい。

自営業でもいい。

どの国の言葉を使ってもいい。

使わなくてもいい。

大切なのは、自分で選べることの素晴らしさ(選択肢の理解)です。

 

そして、自分の選んだ人生を、自分の足で納得して歩けることです。

親として、子どもの未来を決めることはできません。

決めるべきでもないと思っています。

 

だから私は、答えを残すのではなく、選択肢を残したい。

 

世界は思っているより広い。

人生経験には一つの正解しかないわけではない。

そのことだけは、伝えられたらいいなと思っています。

 

それが、15年のフィリピン生活を通して、私が子どもたちに残したいと考える、一番大切なものです。