こんにちは。ドゥマゲッティ英語留学&移住センター(DEEC)代表の増田です。
海外経験の差はいつ現れる?中学・高校で“見え始める能力の正体”
はじめに
小学生のうちは、正直なところ、大きな差はほとんど目に見えません。
テストの点数も、通知表も、クラスでの立ち位置も、「普通にやれている」ように見えることが多いです。
学習習慣も、友人関係も、学校生活全体において「平均的」といった印象を受けます。
そのため、多くの親御さんはこう考えがちです。
「海外に行っても行かなくても、結局は同じじゃないの?」
「今は日本の学校をちゃんとやっていれば、それで十分?」
確かに、小学生の段階では極端な差はほとんど見えません。しかし、教育の専門家たちは、すでに何年も前から「差が出る時期」について共通認識を持っています。そしてその時期は、思ったより早く訪れます。
それが、中学後半から高校にかけてです。
小学生で差が出ないのは、制度のせい
教育社会学者の苅谷剛彦さんは、著書『学力の階層差は拡大しているのか』(岩波書店)の中で、日本の学校教育の特徴について次のように述べています。
●日本の初等教育は、『平均をそろえる力』が非常に強い制度である。」
この「平均をそろえる力」というのは、決して悪いことではありません。むしろ、日本の小学校は、誰も置いていかないことに長けています。
具体的には、こうした力が自然に評価される環境です。
先生の指示をきちんと聞ける
みんなと同じ行動ができる
空気を乱さず協調性を持てる
これらは、小学校の通知表や授業で高く評価されるポイントであり、多くの子どもが平均的にこなせるため、差は目立ちにくくなります。
しかし、海外や異文化環境で育つ中で身につく力、例えば
自分の考えを持つ力
正解がない場面で考える力
違いを前提に話す力
こうした能力は、テストや通知表では測りきれません。
だから、小学生の段階では差が「ない」のではなく、まだ見えないだけなのです。

中学から始まる“同調圧力の強化”
中学生になると、学校での評価の軸がより明確になります。
内申点
提出物
授業態度
こうした評価項目が重視されるため、自然と「きちんとやる子」「無難な子」が有利になります。
教育評論家の尾木直樹さんも、『学力だけで子どもは測れない』(青灯社)の中で次のように述べています。
●「日本の中等教育は、『間違えないこと』を強く求める構造を持つ。」
この環境では、日本型教育に慣れた子どもたちは最初は有利です。しかし、ここで問題となるのはその後です。
高校で問われ始める「考え方」
高校生になる頃から、学びの内容や問いかけの質は変化します。
なぜそう思うのか
自分の意見は何か
答えが一つではない問題への対応
ここで、海外経験のある子どもは、完璧でなくても自分の言葉を出すことができます。
意見を述べる経験値があるからです。
一方、留学経験のない子どもは、「正解がわからないと話せない」という状態に陥りやすくなります。
これは能力の差ではなく、思考の経験値の差です。
脳科学者の茂木健一郎さんも、『「考える力」を育てる』(PHP研究所)の中でこう述べています。
●「考える力は、『正解のない環境』でこそ育つ。」
親が気づくのは、いつも少し遅い
怖いのは、この差が静かに、そして確実に進むことです。
成績は悪くない
学校にもきちんと通っている
しかし、家庭や学校での子どもの姿には、次のような兆候が出てきます。
話し合いで発言しない
初めてのことを極端に避ける
失敗を過度に恐れる
多くの親御さんが「何か違う」と感じるのは、高校生になった頃、あるいは大学進学のタイミングです。しかしその時には、すでに思考のクセは形成されています。
おわりに
海外留学や異文化経験は、語学力を伸ばすためだけのものではありません。それは、正解がない世界で考える力を育む練習です。
教育の専門家たちが長年指摘してきた通り、差がはっきり見えるのは中学後半から高校です。「まだ小さいから大丈夫」と考えている今こそ、実は一番大事な準備期間かもしれません。
この先、子どもが自分の言葉で考え、立てるかどうか。その土台は、すでに静かに、しかし確実に作られ始めています。

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