南国フィリピンのドゥマゲッティへの親子英語留学、移住サポートをしています、DEECの増田です
今回は、私が直面した「時間の感覚の違い」について、ちょっと笑えて、でも大切な気づきがあった体験談をお届けします。
■ 最初のカルチャーショック:「時間に来ない人たち」
フィリピンに移住して驚いたこと。それは、時間がゆるい!ということです。
いわゆる「フィリピンタイム」というやつです。
例えば「10時に来ますね」と言われたら、来るのはだいたい10時半、早くて10時15分。
ひどい時には「明日に変更してもいい?」と、約束の1時間前(1時間後)に言われることもあります(笑)
日本なら、「時間に遅れる=失礼」「信用を失う」とされます。
私自身も、長年日本で小規模ながら自営業をやってきたので、
時間厳守は当たり前の感覚でしたし、ここを守れないと仕事がないというのが当たり前でした。
移住当初、現地の業者さんに電気工事をお願いしたときのこと。
朝9時に来る約束だったのに、時計が10時を回っても誰も来ない。
電話しても、最初は出ない、後程つながっても「向かってます~!」と明るく言うだけ。
実際に来たのは、なんとお昼の1時(しっかりランチを済ませてから来ました)。
私:「え、約束は9時でしたよね?」
業者さん:「ああ、でも遅れちゃったからランチ食べてきたよ~😁」
…これが普通なんです、フィリピンでは。
■ マスダの困惑と、怒りの向こう側
最初の頃は、正直ストレスが溜まりました。
・学校の先生の個人面談が1時間遅れて始まる
・レンタカーの配車が予定の30分遅れ
・大事な役所の手続きで担当者が昼寝中(!)
時間どおりに動かないことが「当たり前」とされるこの文化に、
「こっちはこっちでスケジュール組んでるんだよ!」と、ついイライラ…。
でも、ある日、現地の先生とこんな会話をしました。
先生:「時間って、そこまで厳しくしなくてもいいと思うんですよね」
私:「えっ?どういうことですか?」
先生:「フィリピンでは、その時その時を大切にするって文化なんです。遅れても、心は急がない。それが人生を楽しむコツなんです」
正直、最初は「いやいや、ただの言い訳じゃ…?」と思いました(笑)
でも、何年も暮らしていく中で、だんだんその意味がわかってきたんです。
正直、妻はフィリピン人ですから、そのことをよく理解していますが、私の立場を気遣って柔らかく対応してくれていました。
■ 「正確さ」より「ゆとり」を選ぶ文化
フィリピンの人たちは、時間に遅れても「相手のことを軽んじている」わけではありません。
むしろ、「焦って、慌てて、心を乱すくらいなら、落ち着いて来る」ことを良しとしています。
実際、私たちの子どもたちが現地校に通うようになってから、
朝の登校時に「遅刻しそう!」と慌てているのは、親の私だけ。
先生も「大丈夫、大丈夫。安全が一番よ」と笑って迎えてくれるのです。
時間に追われることが当たり前だった私は、
この「ゆるさ」に最初は戸惑い、そしてだんだん、心のゆとりを思い出すようになりました。
■ 日本とフィリピン、どちらが正しいという話ではない
もちろん、すべてをフィリピンタイムで考えるのがいいとは思っていません。
たとえば、空港、病院、ビザ関係などの手続きでは時間厳守が必要な場面もあります(実際はそうはならないことも)、
ビジネスや教育サポートにおいては、日本式の丁寧な段取りが評価される場面も多いです。
でも一方で、「時間に縛られない=悪」ではないと気づいたことは、私にとっては大きな価値でした。
子どもたちにも、「遅れること」をただ怒るのではなく、
「どうして遅れたの?次はどうする?」と対話で向き合うようになりました。
妻も、「急かさない子育てって大事だね」と言ってくれます。
■ 留学・移住を考える方へ伝えたいこと
もし、あなたがこれから親子留学や移住を考えているなら、
この時間の感覚の違いは、きっと最初に直面するカルチャーショックのひとつです。
でも、それを「文化の違い」として受け入れてみると、
不思議と心が軽くなります。
日本では当たり前の時間どおりが、
フィリピンでは心地よいペースに置き換わる。
それを知るだけでも、海外生活がずっと豊かになります。
そして、そんな「違い」を一緒に面白がって、
家族で笑って過ごせるようになることこそが、
海外で暮らす最大の価値なのかもしれません。
時間に厳しくてもいい。ゆるくてもいい。
大切なのは、お互いの価値観を尊重しながら、
自分たちらしいペースを見つけていくこと。
この国のフィリピンタイムが、
いつかあなたにとってのやさしい時間になりますように。