こんにちは、ドマゲティ英語留学&移住センター(DEEC)代表の増田です。
今回は「日本人が少ない環境で学ぶメリットと苦労。」というタイトルで、「日本人があまり多くない/少数派の環境でインター校に通うこと」が、子どもにとってどんな良さがあるのか、反対にどんな困難が起こりやすいか、そして親としてどうサポートできるかを、整理してお伝えします。
「メリット:少数派で学ぶことがもたらす成長のチャンス」
「日本人が少ない環境」には、日本語に頼れない分、英語環境が強制的に整う場面が多く、その結果として次のようなメリットがあります。
1、英語を使わざるを得ない環境が英語力を加速させる
日本語の母語話者が多数いるクラスだと、日本語での助け合いや日本語での会話が休み時間や友だち同士で発生しがちですが、日本人が少ないとその機会が減ります。
結果として、生徒は英語を使ってコミュニケーションを取る必要があり、リスニング・スピーキングの訓練量が増えます。英語に“慣れる時間”が多くなることで、授業で分からない指示を理解する能力、また発言する勇気が育ちやすくなります。
- 異文化理解力・柔軟性が育つ
クラスメイトが多国籍であることが多く、日本語を母語としない子ども・文化背景が異なる友だちと交流することで、多様な価値観・習慣を知る機会が増えます。
これは単なる英語力アップにとどまらず、他者を理解する力、適応力、異文化コミュニケーション能力、人間関係の築き方など、「グローバル人材」に育つ土台となります。
- 自立心・自信が育ちやすい
言葉で助けを求める・自分から発言する・日本語が通じない環境で問題を解決する――こうした経験は、小さな「成功体験」を積む機会になります。
自分で「言いたいことを相手に伝えられた」「友だちと遊べた」といった実感が自信につながるため、少数派であることが、成長・自己肯定感の促進につながることがあります。
- 日本語依存による学びの遅れが減る
日本語を使う仲間が多いと、英語で聞き取れないことを補うために日本語に頼る場面が多くなります。少ない環境ではそうした代替手段が使えず、自分で“わからないところ”を英語で理解しようとする努力が促されます。これが結果的に英語の思考力・語彙獲得などの向上を後押しします。

「苦労・チャレンジ:少数派で学ぶ環境で起こりやすい困難」
一方で、「日本人が少ない環境」がすべて良いというわけではありません。以下のような苦労が起こりやすく、親子での心構えや学校選び時のチェックが必要です。
- 言語の壁・孤立感・遠慮する心理的ハードル
英語初心者であるほど、「自分の英語が通じないかもしれない」「間違えると笑われるかもしれない」といった不安が強くなります。友だち作り・休み時間の遊び参加などでも、自分から話しかけることに消極的になることがあります。日本語で気持ちを共有できる同語仲間が少ないことで、孤立感を感じることも。
- サポート・教師補助の必要性がより大きい
少数派である子どもには教師の配慮やサポート体制が非常に重要です。授業中の理解度を上げるための補助(視覚教材・教科語彙の予習・ EAL 補習など)や、心理的サポート(発言を促す雰囲気づくりなど)がないと、学習がついていけなくなることがあります。
- 同じような経験を持つ仲間が少ないことによる共感・相談相手不足
日本人の子ども・保護者同士で情報共有・気持ちの共有がしにくいため、「こういうときどうしたらいいか」という悩みを相談できる仲間が少ないことがあります。
文化的な違いや家庭でのサポートの方法など、日本人だからこその共通課題があり、それを共有できる人が少ないと孤独を感じることも。
- 学校外での日本語保持の難しさ・家庭でのケア必要性
家で日本語で会話する機会が少ないと、日本語力・母語アイデンティティの維持が難しいことがあります。帰国後の学校で日本語での学習・表現が求められる場面で苦労することも。
また、家庭で日本語の本・文化・習慣を意図的に取り入れないと、日本語の語彙・読み書きが遅れることがあります。
- 初期のストレス・適応期の時間がかかることが多い
新しい言語・文化・学校のルール・授業スタイルに慣れるまで、子どもはストレスを感じることが多いです。少数派で日本語でのサポートがほとんどないとき、最初の数か月は言語ショック・ホームシックなどが強く出ることがあります。
「公的研究 / 信頼できる情報から見える点」
いくつかの研究が、言語少数派(母語話者が少ないグループ)であることの教育的影響を調べています。
母語が「少数言語」であっても、語彙・文法など外国語(英語など)学習において利点を持つことが示されており、母語能力が維持されていることがプラス要因として働くとされています。
また、多文化・インターナショナルスクールの利点・課題をまとめている記事 にも、「多様性のあるクラスで育つことが視野を広げ、英語環境に身を置くことが言語習得や社会性の面でプラスになる」
一方、「サポートがないと発言する機会を持たない」「仲間との共通言語・文化がないことで孤立を感じる」「入学直後の適応が難しい」などの声が報告されています。
「DEECの経験からの実例・アドバイス」
DEECでドゥマゲッティ近辺のインター校に通う「日本人が少ない学校」での体験から、以下のような具体的なメリット・苦労・親としてできるケアが見えています。
日本人が少ない学校で、休み時間や授業中、英語のみを話す友だちができる機会が多く、最初は相手の言ってることを聞き取るのが難しかったが、「聞く力」が早く伸びた子どもがいました。授業で先生の指示を理解できるようになるまでの時間が短かったという声があります。
また、文化の違う友だちとの共同作業(プロジェクト・クラブ活動など)で「日本とは違う考え方」を吸収し、自分の意見を英語で伝える力がついたという例も多数あります。
入学直後、日本語の補足がないために教科の専門用語・授業の指示がまったく理解できず、宿題内容・授業内容を誤解してしまうことがありました。
また、「日本語話者の友だちがいないので学校外で日本語を話す相手が少ない」「家庭での日本語の本や活動が減る」ことで、日本語力・母語文化を保つのに努力が必要だったという報告もあります。さらに、新しい文化習慣(挨拶・礼儀・学校行事の進め方など)が異なり、最初は慣れるまで混乱したケースもあります。
「親としてできるサポート方法」
日本人が少ない環境で子どもが安心して成長するために、親としてできることをいくつかご提案します。
〇入学前の心構えと期待値を持たせる
「最初はわからないことが多いけど、それが普通」「英語を聞く・使うことで慣れていくもの」と前もって子どもと話しておく。親も不安を共有できるように準備する。
〇教科語彙・指示語などの予習・フォローを家庭で行う
複雑な指示や教科の専門語彙を家庭で少しずつ確認・練習しておく。英語の絵本や動画などを用いて耳を慣らす。
〇日本語の維持を意識する
家庭に日本語の本・読み聞かせ・文化・行事などを取り入れる。また、友だちや日本人コミュニティとの交流機会を意図的につくる。
〇学校のサポート体制を見学・質問する
EAL 補習・英語補助教師・クラス指示の見せ方・教師のフォロー体制などを見学時に確認する。「言語サポートがどの程度あるか」「発言を促す環境か」などを具体的に聞く。
〇仲間作り・ソーシャルサポートを促す
休み時間・クラブ活動・学校行事などで友だちを作るきっかけを応援する。子どもが友だちに話しかけやすいように家庭でも練習したり、小さなステップを踏ませたりする。
まとめ
「日本人が少ない環境で学ぶこと」には、英語力の向上を加速させたり、異文化理解や自信・主体性を育てたりといった大きなメリットがあります。一方で、はじめの言語理解・友達関係・日本語・文化保持などで苦労することもあります。
いずれにしても最初から、完璧を求めないことが肝心ですね。

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