子どもが笑っている時間が増えたのは、英語より先に環境が変わったからかもしれません。
海外に行く理由として、一番よく聞くのは「英語」です。
もちろん、英語ができるようになることは大切です。将来の可能性を広げる手段として、語学力は間違いなく役立ちます。
しかし、実際にドゥマゲッティで暮らしてみて、そして多くの家族をサポートしてきて感じるのは、それだけではないということです。
環境の変化そのものが、子どもたちに与える影響の大きさです。
子どもが変わる順番は、英語が先じゃないことが多いのです。
これまで話を聞いてきたお母さんたちは、よくこう言っていました。
「英語力は、正直まだこれからです」
「でも、笑う時間は増えました」
その言葉を聞くたびに、なるほどな、と思います。
言葉が増える前に、安心が増えている。
それが、表情や行動に自然と表れているのです。
ドゥマゲッティは、子どもにとって刺激が強すぎない街です。
都会のように常に忙しく、競争や比較が強いられることも少なく、子どもは自分のペースで物事を体験できます。
できないことよりも、やってみたことをまず認めてもらえる。そんな空気があります。

子どもたちは、評価される前に「まず動いていいんだ」という感覚を自然に身につけていきます。
小さな挑戦でも認められ、失敗しても大きく叱られることはほとんどありません。
あるお母さんがこんな話をしてくれました。
「学校の話を、前よりしてくれるようになりました」
成績が上がったとか、英語が話せるようになったとか、そういう話ではありません。
今日あったこと、感じたことを、そのまま素直に話すようになった。
子ども自身の気持ちを言葉にできるようになった。
それが一番の変化だったそうです。
環境が変わると、子どもの反応も変わります。
・失敗しても大丈夫
・わからなくても聞いていい
・完璧じゃなくていい
そんなメッセージを、子どもたちは言葉で教えられる前に、空気で受け取っています。その結果、表情が柔らかくなり、笑う時間が増えていきます。
父親として強く感じるのは、子どもにとって一番の学習は「安心できる状態」であることです。
緊張していると、吸収できるものも入りにくくなります。
しかし、気持ちが落ち着くと自然に周りを観察する余裕が生まれ、興味や好奇心も自由に広がります。
それは、どの国であっても同じことです。
相談の場で、「うちの子、海外向いてますか?」と聞かれることがあります。
正直に言うと、来てみないとわからない部分も多い。
しかし、向いているかどうかを判断する前に、環境を知ることはできます。
話を聞き、現地の生活を知り、子どもたちの様子を想像してみる。
それだけでも、考え方や見え方は大きく変わります。
もし今、
・子どもが疲れているように見える
・学校の話をあまりしなくなった
・英語以前に、何か大事なものが気になっている
そんな感覚があるなら、決めなくてもいい。
今すぐ動かなくてもいい。
ただ、環境が変わったらどうなるか、その話を聞くだけでも価値があります。
ドゥマゲッティでの日々は、自然や街の穏やかさ、ゆったりとした人々の雰囲気に囲まれ、子どもたちが本来の自分を取り戻す場でもあります。
公園で遊ぶ時間、道端の猫に声をかける時間、近所の人と挨拶する時間──そうした小さな体験の積み重ねが、子どもたちの心を安心で満たしていきます。
そしてその安心が、笑顔や豊かな表情となって現れるのです。
父親として、現地で子どもたちを見てきた立場として、これは体感でしか語れません。
英語力や学力よりも先に、子どもは安心の中で笑い、動き、学びます。
その笑顔の時間が増えることこそ、環境を変える一番の価値かもしれません。
だから、まずは話だけでも聞いてみてほしい。
目に見える成績や言葉の伸びではなく、子どもが笑って過ごす時間がどれだけ増えるのか、その可能性を感じてほしいのです。

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