こんにちは、ドマゲティ英語留学&移住センター(DEEC)代表の増田です。
フィリピンで親子留学を始める際、多くのご家庭が最初に検討するのが「家具付き物件(fully furnished)」です。文字通り、冷蔵庫やベッド、ソファなどがすでに備え付けられている状態で、入居してすぐに生活をスタートできるのが大きな魅力です。
特に小さなお子さんを連れての移住では、家具を一から揃える余裕がないため「家具付きが安心」と感じる親御さんは多いでしょう。
私自身も最初にフィリピンのマニラで住んだ家は家具付き物件でした。当時は「スーツケース一つで生活が始められる」と思い安心したのですが、実際に暮らしてみると「家具付きの落とし穴」が次々に見えてきました。
今回は、その実体験と、これまでサポートしてきたご家庭の事例をもとに、家具付き物件を選ぶときに知っておくべき注意点を整理してお伝えします。
● 家具付きの大きなメリット。
(まずは家具付き物件の良いところから)
入居後すぐに生活可能。
冷蔵庫、ベッド、洗濯機、テーブルなど生活に必要な最低限の家具家電が揃っているため、着いたその日から普通の暮らしが始められます。
初期費用が抑えられる。
自分で家具を買い揃える必要がないので、引っ越し直後に大きな出費をしなくて済みます。
短期滞在に有利。
数カ月〜1年程度の留学なら、家具を購入しても帰国時に処分に困ります。その点、家具付きは合理的です。
実際、私が案内したご家庭でも
「到着した日に子どもがすぐ勉強机を使えた」
「料理がすぐできて助かった」と大変喜ばれていました。
● よくある「落とし穴」
(しかし、ここからが本題です。家具付きにはメリットと同じくらい「想定外の困りごと」も存在します。)
家具の品質が低い。
椅子の脚がグラグラ、ソファが破れている、ベッドのマットレスが硬すぎて腰を痛める…。
家具付きといっても、日本の新品同様をイメージすると大きなギャップに驚きます。
子ども用の椅子がなかったというケースも珍しくありません。
(家電が古くて壊れやすい。)
冷蔵庫やエアコンは特に要注意。型が古いものが多く、電気代が高い割に冷えない、数カ月で故障するということもあります。私自身も入居して1カ月で冷蔵庫が壊れ、毎日の買い物が大変になった経験があります。
(「家具付き」の範囲があいまい)
オーナーによって「家具付き」の意味は違います。ベッドとテーブルだけの場合もあれば、食器や調理器具まで揃っている場合もあります。契約前に内容を確認しないと「想像以上に足りない」という事態になりがちです。
● 失敗を避けるためのチェックリスト。
入居前に家具・家電の写真を必ず確認する。
契約書に修理や交換の責任範囲を明記してもらう。
電化製品は入居時に動作確認をする。
消耗品(シーツ・調理器具・食器)は自分で準備する前提で考える。
これだけでもトラブルの多くは防げます。
● 公共機関のアドバイス。
フィリピン住宅土地利用規制委員会(HLURB)は賃貸契約に関して、次のように述べています
:Tenants are advised to thoroughly review lease agreements, including provisions for maintenance and repairs. (借主は、メンテナンスや修理に関する条項を含め、賃貸契約を十分に確認することが推奨される)(出典:HLURB)
つまり、家具や家電が壊れた場合に誰が修理費を負担するのかを契約前にしっかり確認することが、安心して住むための最低条件なのです。
● 増田からの実体験アドバイス。
私自身も最初に「家具付きだから安心」と思い込んで契約したのですが、数カ月でエアコンが壊れ、修理費用が1万ペソ以上かかりました。オーナーは「古いけど使えると思った」と言うばかりで、結局自己負担になったのです。この経験から、今では必ず契約書に「家電が故障した場合はオーナー負担」と書いてもらうようにしています。
また、サポートしたご家庭では「家具付き」と言われていたのに調理器具が一切なく、自炊できず外食続きになってしまったこともありました。結局、日本から持参した小さな鍋やフライパンが役立ったという話もよく聞きます。
● まとめ。
家具付き物件は、親子留学を始める上で非常に便利な選択肢です。しかし「家具付き=快適」とは限らず、実際には家具や家電の質、修理対応、付属品の有無などでトラブルが起きやすいのが現実です。
写真と現物で必ず確認する。
契約内容に修理責任を明記する。
足りないものは買い足す(消耗品)心構えを持つ。
この3点を押さえておけば、家具付き物件のメリットを最大限活かし、親子で安心して新生活を始められます。