こんにちは、ドゥマゲッティ英語留学&移住センター(DEEC)代表の増田です。
フィリピン留学が「思考の柔軟性」を育てる理由(未完成な環境の良さ)
「海外留学」という言葉を聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは「英語力」だと思います。
でも、実際に長く現地で子どもたちや家族を見てきて感じるのは、フィリピン留学の本当の価値は、
語学そのものよりも“考え方の変化”にある、という点です。
特に育つのは、「正解を待たずに考える力」つまり思考の柔軟性です。
未完成な社会=考える余地が残っている
日本の社会は、とても完成度が高い国です。
・時間通りに来る電車
・マニュアル化された学校やサービス
・「こうすれば正しい」という共通認識
子どもは、その中で安心して育つ一方、「自分で考えなくても何とかなる」環境にも囲まれています。
一方、フィリピン、とくにドゥマゲッティのような地方都市は、良くも悪くも未完成な社会です。
・予定通りに進まない
・ルールがあっても運用は柔軟
・立場や生活レベルの違う人が、同じ空間にいる
こうした環境では、「誰かが正解を用意してくれる」場面は多くありません。
だからこそ子どもは自然に、
「今、どうしたらいいかな」
「この人は、なぜこう言ったんだろう」
と、考える習慣を身につけていきます。

英語×生活密着=思考を止められない環境
フィリピン留学の特徴は、英語が「教科」ではなく生活の道具であることです。
・買い物
・学校での友だち関係
・トラブルや誤解
どれも、「通じなかったら終わり」ではありません。
通じない中で、言い方を変えたり、身振りを使ったり、相手の表情を読んだりしながら、やり取りを続けます。
これは、文部科学省が示す学力到達度評価では測りにくい力ですが、実はとても重要な能力です。
教育心理学者・秋田喜代美氏(岩波書店)は、著書『学びをデザインする』の中で、
「学びとは、正解を覚えることではなく、状況に応じて意味を再構成する力である」
と述べています。
まさに、フィリピンでの生活は意味を考え続けないと前に進めない環境なのです。
階層が混在する社会が、視点を増やす
もう一つ大きな特徴があります。
それは、さまざまな生活背景の人が、日常的に交わることです。
学校の先生、ドライバー、売店の人、警備員、裕福な家庭の子も、そうでない子も、同じ空間で、同じ言語で会話をします。
日本では、家庭環境や経済状況は、ある程度「見えないように」分けられています。
しかしフィリピンでは、その違いが日常の中に自然に存在します。
この経験は、「自分と違う人がいる」ことを知るだけでなく、「正しさは一つではない」という感覚を育てます。
教育社会学者・苅谷剛彦氏(中央公論新社)は、『教育改革の幻想』の中で、
「均質な環境ほど、思考が一方向に偏りやすい」
と指摘しています。
視点が増えること。
それ自体が、柔軟な思考の土台になります。
思考の柔軟性は、すぐに結果として見えない
ここで大切なことがあります。
こうした力は、テストの点数や短期的な成果としては、ほとんど見えません。
むしろ日本に戻ると、
「遅れているように見える」
「要領が悪く見える」
ことさえあります。
でも実際には、
・状況を読む
・人の意図を考える
・答えのない問いに耐える
こうした力は、思春期以降、そして大人になってから一気に効いてきます。
フィリピン留学が残すもの
フィリピン留学は、子どもを「優秀」に見せる場所ではありません。
けれど、
・考える余白
・違いに触れる経験
・正解がない中で動く力
これらを、静かに、確実に育てます。
それは、今すぐ評価される力ではありませんが、これからの時代を生きる上で、確実に支えになる思考の土台です。
新しい時代は、私たちの子供が(どう追いつくか?)ではなく、(どう対峙するか)ということが重要になってくると考えます。

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