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こんにちは、ドゥマゲッティ英語留学&移住センター(DEEC)代表の増田です。
なぜ小学生では差が出ないのか?
日本の学校制度が見落としている力
前回の記事では、「海外経験の差は、中学後半から高校で見え始める」というお話をしました。
すると、保護者の方からよくこんな声をいただきます。
「でも、小学生のうちは全然わからないですよね?」
「今のところ、特に問題があるようには見えないんですが……」
はい。
その感覚は、決して間違っていません。
ただし、それは
差が存在しないからではなく、
日本の学校制度の中では“見えにくい”だけ
という点が、とても重要です。
日本の小学校は「揃える」ための場所
日本の小学校教育は、世界的に見ても非常に評価の高い制度です。
文部科学省が定める学習指導要領では、小学校段階において
・基礎的な知識・技能を
・全員に
・確実に身につけさせる
ことが強く意識されています。
その結果、学校の設計そのものが、
・できるだけ差を出さない
・みんなが同じ地点まで到達する
・遅れた子を置いていかない
という方向に最適化されています。
これは「守りの教育」としては、とても優秀です。
だからこそ、日本の小学校は安心感があり、多くの子どもが安定して通えます。
一方で、この設計そのものが
差を表に出さない構造
になっていることも、同時に理解しておく必要があります。
一斉指導が「向いている子」が評価される仕組み
日本の小学校の授業の多くは、一斉指導です。
・黒板を見て
・先生の話を聞き
・みんなで同じ問題を解く
このスタイルに自然と適応できる子は、特別な努力をしなくても「よくできる子」に見えます。
先生の話を聞ける
指示通りに動ける
集団の流れを乱さない
こうした力は、学校生活では高く評価されます。
しかし逆に言えば、
・自分なりに考えたい
・話し合いの中で意見を深めたい
・正解のない問いを楽しみたい
こうしたタイプの子どもが持つ力は、成績や通知表には反映されにくいのです。
海外経験で育つ力は、テストに出てこない
海外や異文化の環境で育った子どもたちは、
・意見が違ってもいい
・考えがまとまっていなくても話していい
・正解がなくても考え続けていい
という前提の中で育ちます。
この「考え続ける力」や「違いを前提にする力」は、ペーパーテストでは測れません。
だから、
評価できない
↓
目に見えない
↓
存在しないように感じてしまう
という錯覚が起こります。

「評価できない=ない」ではない
ここで、親として一番気をつけたいのが、この点です。
成績表に書かれていないテストで測れない=その力は存在しないと、無意識に判断してしまうこと。
しかし実際には、学校で評価される力と、社会で必要とされる力は、必ずしも一致しません。
小学生のうちは、
・評価されやすい力
・将来問われる力
この二つが、まだ重なっていない段階なのです。
だから親は安心してしまう
小学校時代は、多くの場合、
・成績は平均的
・先生から特に指摘されない
・友だちとも問題なく過ごしている
という状態が続きます。
すると親は、
「うちの子は大丈夫そうだ」
「特別なことをしなくても問題ない」
と感じます。
でも実際には、この時期に見えない差が、静かに積み上がっているということが起きています。
海外経験のある子どもは、すでに
・自分の考えを言葉にする
・間違いを恐れず発言する
・違いを前提に対話する
という“思考の土台”を作り始めています。
それが表に出てくるのは、ずっと後です。
差が見えたときには、追いつきにくい
中学・高校になり、
「あなたはどう思う?」
「なぜそう考えたの?」
と問われた瞬間、急に戸惑う子どもが増えます。
そのとき、親は初めて
「あれ? 何か違うかもしれない」
と感じます。
しかし、考え方のクセや思考の姿勢は、短期間で簡単に変えられるものではありません。
だからこそ、差が見えない時期こそが、一番大切な時期なのです。
おわりに
日本の小学校は、とても安心できる場所です。
多くの子どもを守り、支えてくれる大切な環境です。
同時に、「評価できない力」をそっと見落としてしまう場所でもあります。
海外留学や異文化経験は、その見落とされがちな力を、静かに育てます。
差が見えない今だからこそ、少しだけ立ち止まって考えてみてください。
この先、子どもが正解のない場面に立ったとき、自分の言葉を持っていられるかどうかを。

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