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このままでいいのかなって思った夜に、ドゥマゲッティの朝を思い出した話

  • 2025.12.15

「このままでいいのかな」って思った夜に、ドゥマゲッティの朝を思い出した話

夜、子どもが寝静まったあと。

洗い終わらない洗濯物を前にして、ふと手が止まる瞬間があります。

 

「……このままで、いいのかな」

 

誰に聞くでもなく、でも胸の奥から、静かに、確実に湧いてくるこの言葉。

 

毎日ちゃんと起きて

ごはんを作って

学校の準備をして

仕事や家のことをして

子どもの話を聞いて

また一日を終える。

 

ちゃんと、やっている。

むしろ、十分すぎるほど頑張っている。

 

それなのに、なぜか未来が見えない。

 

昨日と今日と明日が、

少しずつ色を変えながら、

でも同じ場所をぐるぐる回っているような感覚。

 

特別な不満があるわけじゃない。

不幸だとも思っていない。

ただ、心のどこかでずっと思っている。

 

「この子の未来、このままでいいのかな?これでいいのかな」

「私の人生、このままでいいのかな」

 

そんなことを考えてしまう夜が、きっと、あなたにもあるんじゃないでしょうか。

 

 

ドゥマゲッティの朝は、とても静かです。

鳥の声で目が覚めて、

窓を開けると、湿ったやさしい風が入ってくる。

 

 

誰かに追い立てられる感じが、ない。

 

子どもが起きてきて、眠そうな顔で「おはよう」と言う。

その声に、余裕をもって「おはよう」と返せる。

 

それだけのことなのに、胸の奥が、すっと緩む。

 

ここに来て気づいたんです。

 

人は、

頑張りが足りないから苦しいわけじゃない。

自分に合わない場所で、必死に踏ん張っているから、苦しくなる。

 

日本での私も、そうでした。

 

父として失格なわけでもなく

努力を怠っていたわけでもなく

ただ、「環境」が今の私に合っていなかった。

 

それだけのことだったんだな、と。

 

子どもって、環境の影響をそのまま受け取ります。

 

誰かと比べられない空気

失敗しても笑ってやり直せる空気

言葉が通じなくても、伝えようとする時間

 

 

急に現地語がペラペラになったわけじゃありません。

成績が劇的に上がったわけでもない。

 

でも、

 

・人の目を気にしすぎなくなった

・わからないことを「わからない」と言えるようになった

・初めて会う人に、ちゃんと挨拶できるようになった

 

そういう土台の部分が、

静かに、でも確実に育っているのを感じました。

 

それを見て、

「ああ、これでいいんだ」と思えたんです。

 

よく聞かれます。

 

「移住って、勇気いりますよね」

「決断がすごいですね」

 

でも正直に言うと、私は最初から決めてなんていませんでした。

 

 

「今すぐじゃなくてもいい」

「やらなくてもいい」

「だめなら帰国すればいい」

「自分の人生は自分のもの」

 

私たち日本人って、

いつも「ちゃんと決めなきゃ」って思わされがちですよね。

 

正解を出さなきゃ

失敗しちゃいけない

子どもの人生を背負ってるんだから、って。

 

でも、本当は。

 

決めなくてもいい時間が、

人を救うこともある。

 

もし今、あなたが

 

・こんなに頑張っているのに報われない

・未来を考えると、胸が少し苦しくなる

・何かを変えたいけど、何をどうすればいいかわからない

 

そう感じているなら。

 

それは、あなたが弱いからじゃない。

ダメなひとだからでもない。

 

ちゃんと、生きているから。

ちゃんと、子どものことを思っているから。

 

だからこそ、

一度、立ち止まってもいいと思います。

 

決めなくていい。

動かなくてもいい。

 

ただ、

話を聞いてみるだけでも、いい。

 

ドゥマゲッティの朝の話を、

少し聞いてみるだけでも。

 

あなたと、あなたの子どもにとって、

どんな選択肢があるのか。

 

それを知るだけで、

夜の「このままでいいのかな」は、

少しだけ、やさしいものに変わるかもしれません。

 

人生は一度きり、なんて

大げさなことを言いたいわけじゃありません。

 

ただ、

今のあなたが、少し楽になる道が、

ここに「あるかもしれない」。

 

誰かに遠慮したり、周りの目を気にしたり。

 

新しい決断や冒険を、わがままだと、捉えてしまったり。

 

ただ、あなたにしか決められないことがあるはずです。

 

それを、

静かにお伝えできたら嬉しいです。

 

決める前で、大丈夫です。

そのままで、十分です。

 

まずは、

話だけでも。